第1回 東京MOT6大学連合シンポジウム 動き出した技術経営・MOT大学院 ~東京MOT6大学連合~ [開催報告] #3
パネルディスカッション:動き出した技術経営

モデレータ

パネリスト






モデレータ・パネリストのご紹介
東京大学名誉教授 平澤 冷

MOTは日本だけでも30年以上の歴史があります。それが現在どう結実してきているのか、考えて見たいと思います。5つの課題を用意しました。
- 各研究科の概要と現状
- 各研究科の目指すものと実施過程で得られた知見
- 専門職大学院としてのMOTの特徴、他との差別化
- MOTにおける学問論
- MOT教育の振興方策
- 実務知への傾斜と更新メカニズム
大前提として、専門職というからには「実務の血」が必要です。経験的な知の集積に対して学問的なアプローチが必要です。この発展形として、学際的なディシプリンが出来上がってきます。教育としては、体験を通じた知の集積を伝授することが、まず第一に考えられます。その場合、新たな経験知の獲得、経験の中身を更新していくメカニズムとしてどのようなものが考えられるでしょうか。 - 学際的アプローチと経験知の進化
MOTは異なった様々な領域からの接近が必要です。そして個別の企業組織や研究所、あるいは広く産業界で起こっている個別の事象から抽出される経験を、その場の経験にとどめるのみならず一般化できる経験知として絶えず進化させてゆくことが必要です。 - 新たな学際的ディシプリン形成への方途
初めは類縁ディシプリンの中での方法論を援用していくことになるでしょう。そして経験知を深め、経験を相対化、過去を見て体系化、さらに発展してMOT独特の概念が構築されていきます。最終的には明確なディシプリンをベースにしたMOT独自の方法論を生み出してゆくことを期待します。
- MOT教育の有効性の検証
例えば、学生による授業評価、ファカルティディベロップメントに基づいたカリキュラム開発、派遣元企業の満足度調査をする。さらに教育内容を生かしてどのようなポストに就いているのか調べる。そしてそのポストで本当に教育内容が活かされているのか調べる、などのアプローチがあります。 - 産学官とのネットワークの深化
担当部署間のネットワークは既にありますが、現場の担当者間のネットワークが実態的に必要なので、そのためにどのような連携や仕掛けが具体的に考えられるのか?これらの連携や仕掛がますます必要になってきます。 - MOT研究の振興
まずMOT教育の研究があります。MOTというのは、研究開発と経営という質の違うものを扱う、優れて学際的な分野です。つまり科学技術という普遍的な内在原理を持ったものと、人や組織や組織をあつかう経営という、普遍的な内在原理がたぶん存在しないであろうものを、どのように1つの体系のなかに包摂していくのか、教育として展開していくのかが大きな課題です。また、当然MOT自体の研究が必要で、その研究成果を教育にフィードバックしていきます。
芝浦工業大学大学院 工学マネジメント研究科 研究科長 児玉文雄

本校の特徴は、実務と理論を有機的に融合した工学ベースのMOT実理融合型教育です。経営工学と工学経営(MOT)は字をひっくり返しただけでなく、似て非なるものです。
学外との連携を重視し、教育現場で有効に活用します。多種多彩な職種、業種の実務経験者による多様な発想の集約で高い教育効果を実現します。既に卒業生を輩出しており、これから評価が定まるでしょう。一部学生については、さらに博士課程に進学しています。
東京工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 研究科長 圓川隆夫

技術経営専攻の修士コースでは、技術をベースとするビジネスに携わる社会人を主に対象として、富の創造のためのイノベーション創出サイクルのマネジメントを戦略的に実践できる人材、将来CTOやCEOとなる人材の育成に取り組んでいます。
博士課程では、イノベーション創出を目指し、日本ならではの現場の風土や制度といったものも取り込んで、アメリカモデルではなく、日本型MOTを大事にしていきたいと考えています。また、知的財産マネジメントの講座を開設しています。学内の21世紀COEインスティテューショナル技術経営学とも連携してゆきます。
東京農工大学大学院 技術経営研究科 研究科長 古川勇二

農工大では、技術リスクの最小化を図れる21世紀のスマートマネジャー育成に努力しています。技術と経営という軸に、リスクという軸を加え、より広い技術経営空間でカリキュラムを編成しています。平日夜間と土曜日の講義により社会人でも働きながら学べる環境をつくりました。
またキャンパスは小金井と田町にありますが、田町のキャンパスイノベーションセンターと小金井キャンパスを結びeラーニングによる遠隔授業を実施しています。臨場感溢れる遠隔教育で私自身も体験して驚いたくらいです。
東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科 研究科長 板生清

私どもは、サイエンスをベースにしてマネジメントとテクノロジーの融合させたインベーションを巻き起すことができる人材育成を図りたいと考えています。たんなるアナリシス(分析)ではなくインテグレーテド(総合化)を理念としているため、あえて「総合」という言葉を研究科名に冠しています。
具体的には、フィールドスタディやプロジェクト研究の場で経営と科学と技術を繋げます。また人間力、経営力を育むために、会社そのものを持ち込んだトータルな問題解決を目指しています。
日本工業大学大学院 技術経営研究科 研究科長 村川正夫

わが校の特徴はなんと言っても、中堅中小企業を対象に一年で修士を取得できることです。その分この1年は休みがありませんが。日本の経済を支える中核的存在である技術系中堅・中小企業の枢要なスタッフを養成することにポイントを置いています。
実社会での充実した実務経験を持ち、問題意識の高い社会人を再教育し、更に一段と高度な専門職業人を育成することを目的としています。そのために、現役のエキスパートなど優秀な実務家教員を全教員の7割以上の比率で配置しています。教室は日本工業大学発祥の地である神田にあります。地下鉄から徒歩1分の利便性は多忙な学生に好評です。
早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科MOT専修 教授 寺本義也

わがWBSはアジア太平洋地域、そして世界に開かれたMOTプログラムを提供しています。本校のMOTプログラムはWBS国際経営学専攻の中に位置づけられ、修士号はMBA in Technology Managementです。学生の43パーセントは日本以外の国と地域の出身です。この国際性は他の学校には見られない特色でしょう。優秀で同質な人材の集まりが最もイノベーションには向かないわけです。学生も教員も多様性に富んでいます。アジアを代表する名門校同士、中国清華大学経済管理学院やシンガポール・ナンヤン工科大学と共同でMOT/MBAダブルディグリー・プログラムを開設します。